世界で一番の奏え言

きらめきの欠片を抱きしめて生きる

ファン歴三週間

まったく沼はどこに潜んでいるかわからない。わたしは、ある日突然スピッツのファンになった。

事の起こりは、ニュースアプリ内で公開されていた一本の動画。


スピッツ結成30周年記念!SmartNewsユーザ参加型動画

耳馴染みのあるメジャーな曲・映像と共に、曲に関する思い出のエピソードが流れてくる…という内容。

この動画がとにかく好きで、限定公開されている間何度も見た。何度も何度も見た。この動画を見ているうちに、スピッツへの興味が湧いた。当然の流れである。

ヲタクはとにかく興味が湧いてからのスピードが速い。即座に数曲ダウンロードし、これまた何度も聴いた。小中学生の頃、まわりにスピッツファンの子がいたのでなんとなく曲は知っていたのだが、ちゃんと聴いて驚いた。とにかく曲がいい。曲がいいのだ。ハロプロやジャニーズのトンチキクソ曲…一癖ある曲に慣れてしまっていた耳にはあまりにも新鮮だった。

ほどなくしてスピッツがいままさに結成30周年記念ツアーの真っ最中だということ、そして二週間後にはわたしの住んでいる広島でライブが行われることを知った。タイミングがいいにもほどがある。しかも会場が家から近い*1。これは行くしかないな…と勝手な運命を感じながら、チケットを取った。ここまで24時間とちょっとのあいだの出来事である。スピード感。

曲もほとんど知らない、アイドル以外のライブ*2には行ったことのないわたしはとりあえずセットリストを調べて、レンタルショップで何枚かアルバムを借りた。セットリストは公式サイトで公開されていた。文化の違いだ。

SPITZ mobile

とにかくライブまでの期間は狂ったように曲を聴いていた。三連休で帰省した時も、往復の新幹線の中でもずっと聞いていた。全然苦じゃない。なぜならとにかく曲がいいから。*3

 

そして迎えたライブ当日、物販でタオル*4だけ買って開演10分前には席に着いた。わたしの席は、アリーナのど真ん中。アイドルのライブであればきっと花道やセンターステージのすぐ近くであろう席。でもスピッツはバンドなので当たり前にメインステージしかなかった。そういえば盛り上がり方も、メンバーのこともよく知らない。大丈夫かな…なんて思っているうちにライブははじまった。開演前の不安は何だったのだろうか、一曲目のイントロで泣いた。さすがに自分でも意味がわからない。勝手に泣いて勝手に混乱。盛り上がり方、というかノリ方はなんとなく分かった。ケチャみたい。

ライブはとにかく最高だった。セットもとくにない、あっさりとしすぎたステージから放たれた演奏に度肝を抜かれた。いい意味で楽器の個々の音が重なっていないというか、混ざりあってないというか。楽器のことはもちろん、音楽のことなんかさっぱりわからないわたしでも、演奏が並外れてうまいのはわかった。草野さんの歌も、CD音源と何ら変わらないほど正確だった。わたしの語彙力ではとても表せないほど、よかった。

草野さんは間違いなくファンタジーの世界の人だった。俗世の人じゃないというか。ぽやぽやしていた。この人が歌詞書いてるからあんなに不思議できれいな歌詞なんだろうな、と。

ライブ中のMCで「好きなものが突然終わったら悲しいよね。だからこれからもずっとスピッツでいるよ」と語ってくれたのが本当にうれしかった。終演後、地に足がつかないまま「これからよろしくね」の意味を込めて、メンバーのイラストが描かれた付箋を追加購入。

 

スピッツのファンになってだいたい三週間。毎日楽しい。素敵なものに出会って好きになるたびに、こころが弾んでしあわせになる。これからわたしには、ゆっくり30年の歴史を遡る楽しみが待っている。

*1:正直そうでもない

*2:LDH系もアイドルみたいなものだと思っている

*3:ヲタク同じ事何回も言う

*4:1500円。安い。洗濯したときに「今治タオル」とタグが付いてるのを発見してしまって震えた。デザインもかわいいうえに今治タオルだなんて実質無料では

推しのグループの増員が決まった

Juice=Juiceのメンバー増員が昨夜、ハロステ号外版で発表された。


ハロ!ステ号外 ~ハロー!プロジェクト2017新体制決定スペシャル~

いままで加入・卒業はコンサートでの発表が主だったので、正直「なんでハロステで発表?」と思う節もあった。ハロステは新曲のMVや最新ライブ映像を見るためのコンテンツだと思っていたので。

 

研修生からデビュー内定者の決定、カントリーガールズの森戸、梁川、船木が他グループと兼任すると発表されたときには、また新グループを組むのだろう、とぼんやり思っていた。ある時からJuice=Juiceのメンバーによる過剰な「Juice=Juiceは5人」アピールや、20周年を迎えるハロプロの改革に対する不自然な肯定コメントなどが続き、いつしか「Juice=Juiceに新メンバーが加入するのではないか」とファンの間で囁かれるようになった。わたしも同様に「Juice=Juiceが5人じゃなくなる可能性」について考えようとしてはみたものの、やはりそんな可能性はないだろう、と考えること自体をやめた。というよりも、そんなことは考えたくなかったのだ。

悪い予感は変に当たってしまうもので、下馬評通りJuice=Juiceに新メンバー加入が決まった。それも二人。ハロプロ研修生から段原瑠々カントリーガールズから梁川奈々美。二人は何も悪くないし、嫌いとかそういうのでもない。段原瑠々さんに関しては研修生公開実力診断テストでそのスキルを余すことなく見せつけられ、ファンになってしまった。デビュー内定発表の瞬間は、わたしまで泣き崩れるほど嬉しかった。はずなのに。

Juice=Juiceが5人じゃなくなることが受け入れられなかった。5人でメジャーデビューが決定して、これからこのメンバーで頑張っていきますと言っていたのに。裏切られたような気持ちになった。メンバーの金澤朋子さんが病気でライブに出られない時期も、みんなでフォローしあって乗り越えてきたのに。220公演成し遂げて武道館を埋めたのも5人なのに。ずっとこの5人で頑張っていきたいと話していたのに。全員スキルがあって、美しくて、仲良くて、隙のないグループだと思っていたのに。

Twitterでの意見は様々だった。「ずっとこのままメンバー固定していてほしかった」「私の大好きなグループが壊された」「初期のスマイレージに2期が加入した時の方が荒れた」「推しがいれば何でもいい」「新メンバー入ったのJuiceだけじゃないから騒ぐな」「好きなメンバーが加入してくれてうれしい」「アンジュルムを見習え」「進化を否定するのはファンじゃない」・・・等々

正直お門違いな意見も少なくなかったが、わたしは増員に肯定的な意見に賛同はできなかった。「好きだったグループを壊された」気持ちが強かった。なんでJuice=Juiceに。どうせ新グループを作るなら、増員させなくてもよかったのに。

 

その日の夜にブログを更新したのは高木紗友希さんだけだった。

しかし、新メンバーが加入するというのは、私たちにとってとても嬉しいことです。

本当に。。。

事務所に言わされているとか、そう言うしかないとか、、、そういうことじゃなく、本当に心から嬉しく思っています。

 メンバーにここまで言わせてしまった、と思った。

CDの売り上げが悪いから?グループがマンネリ化してきたから?ホールコンサートが埋まらないから?あんなに5人で頑張っていきたいって話してたのに、心から嬉しく思ってるなんて噓だ。

考えても仕方ないことを考えるだけ時間は無駄だし、怒るのにも悲しむのにもエネルギーってすごく要るから、そのあとはこの件に関して考えるのをやめた。わたしは当事者じゃない、いちファンだから、いつだって離脱できる。

 

一夜明けて、今日、金澤朋子さんのブログが更新された。

最初に新メンバーが増えるかも?という話を聞いた時は、なんだか他人事のような感じで全く実感がわきませんでした。

私達はメジャーデビューの頃から5人で様々な苦楽を共にして頑張ってきたので、なんだかどこか安心しきっていたというか

この5人で今後も一緒に歩んでいくんだ、と勝手に決め付けてしまっていたのかもしれません。


いざ新メンバーの加入が決まり、梁川ちゃんと段原ちゃんに会わせて貰った時は…正直ね、少しだけ複雑でした。笑

2人とも他に入りたいグループがあったんじゃないかな?本当にJuice=Juiceでよかったのかな?という申し訳ない気持ちと、あぁ本当にJuice=Juiceが5人では無くなってしまうんだなぁ…というちょっぴり寂しい気持ちと。

色んな感情がぶわ〜っと、ね。

 ああ、メンバーも同じように思ってたんだ。安心したと同時に、当たり前だけどこの発表は覆らないし、やっぱり増員するんだ、と実感した。一時脱退をも考えたかなともが、5人でいることを守ったかなともが、受け入れようとしているんだな、と。

 

少しして、宮本佳林さんもブログを更新した。

最初に新メンバーが入るかもしれないと知らされたのは、カントリー・ガールズの新体制の発表の時でした。

それまでは
メジャーデビュー当初からずっと
5人だったこともあって、正直
増員ということに縁を感じてもなかったです。

いつの間にか5人が当たり前になっていたというか。

【中略】

増員を聞いた時
私も正直かなり複雑でした。

 わたしたちはいつからか「Juice=Juiceが5人のままであり続ける将来」を勝手に描いていたのかもしれない。でも、それはメンバーも同じで。

今までにない環境に不安や
いろんな気持ちもある上に
新メンバー2人は
今までのJuice=Juice楽曲も
覚えていかなくてはいけないし
それは私が経験してこなかった
大変さなので。

 確かに、モーニング娘。アンジュルムと比較すると少ないかもしれないが、新メンバーとなる二人はいまから楽曲もダンスも覚えなくちゃいけない。現メンバーにも、新しい歌割りやダンスの立ち位置の変更など、膨大な量の仕事が待っている。さらには、変化に納得がいかないファンからのバッシングや、ファン離れなど、不安要素は数えても数えきれない。

加入があったということは
私達が頑張れば
Juice=Juiceがこれからも続いて行くということです。

そして、Juice=Juiceに加入したい!!
って夢や目標にしてくれる子も、増えるかもしれない!!

それってとっても嬉しい!!

これからの加入・卒業を匂わせる文ではあるけれど、女性アイドルグループには目には見えない期限がついていて、永遠に続けることはとてもむずかしい。ハロプロの過去の例を見ると、大体25歳前後で肩を叩かれている。現メンバー最年長の宮崎由加さんが23歳だから、このまま続けていたらあと2年で解散なり何なりする未来が待っていたのだろうか。

歴史が続いていくというのは本当に嬉しいし素晴らしいことです!

みなさんに
ずっと愛してもらえるグループになるために!

精一杯努力していこうと思います。

佳林ちゃんは、きっとJuice=Juiceが誇りで、ファンにも愛してもらいたくてずっと努力してきた。彼女は今回の増員を「Juice=Juiceというグループを途切れさせないチャンス」と捉えたのだ。

 

これだけ批判されて、マイナスの課題が散乱していても当事者たちが前に進もうとしているのに、応援するはずのファンが足枷になるのってどうなんだろう。第一、まだ発表されただけの段階で、まだなにもわからない。ここで見切ってしまうのって、すごく勿体ないことのような気がする。あれだけパフォーマンス仕上げてた人たちだから。またきっととんでもないステージをつくってくれるはず。

5人のJuice=Juiceはなくなってしまうけど、記憶と記録は確かに残ってる。過去に浸って生きるわけではないけど、曲を聴けば”あの頃”のJuice=Juiceに触れることは簡単だ。

まだなにもわからないし、なにも見えていないけれど、わたしは一旦批判はお休みして、7人で創り上げる新しいJuice=Juiceに期待することにした。

ヲタ卒をされてしまった

友人が10年に渡るアイドルヲタク生活に終止符を打った。いわゆる「ヲタ卒」である。

Bouno!の横浜アリーナ公演で、ヲタクとしてやりきった気持ちになった、とその日には語っていた。まあ後々考えたら色々と理由はあるんだろうけど、実際そういうファーストインプレッションが真理だったりする、とわたしは思っている。

 

Hey!Say!JUMPのデビューと共に、ヲタクの仲間入りをしたわたしも今年でめでたくヲタク10周年なわけだが、その間同担や他担などなど沢山のヲタクと知り合い、”ジャニーズ”という共通言語を用いて仲を深めたはいいものの、ジャニーズのヲタク特有の文化である”担降り”*1により、疎遠になってしまうことも多くなった。

担降りに関しては、別にヲタクをやめたわけではなくただ単に応援する子を変えただけなのに、なんで疎遠になってしまうんだろう。とずっと疑問だった。まだ”ジャニーズ”という共通言語が使える世界にいるのに、視点を今まで応援していた子から新しい子へ変えるだけでコミュニティが変わってしまう世界。前は同じクラスで仲良かったはずなのに、クラス替えで別々になっちゃってなんだか話しかけづらい、そんな空気。きっとそれがジャニーズヲタクの世界なんだ、と言い聞かせていた。

ハロープロジェクトを応援するいわゆる兼ヲタになってはじめて「応援する対象が変わっても変わらぬ”ハロヲタ”という大きなコミュニティで繋がっている世界」を目の当たりにし、衝撃だった。あぁ、確かに応援の対象が変われども”ハロプロ”を応援していることには変わりない。男女比や年齢層の差から生まれる違いだろうが、わたしにはあたたかく居心地のいい世界に思えた。

 

じゃあヲタ卒は?これに関してはジャニーズもハロプロも同じことだ。いままでは当たり前に分かち合えていた気持ちが、片方だけしか存在しないものになってしまうの?「いままで」の話はできたとしても、「これから」の話はできないの?と、まるで突然恋人に捨てられたような気持ちになってしまう。

まだまだライブにも一緒に通いたかったし、新曲が出るたびにああだこうだ言い合いたかった。同じ熱量で応援していけるものだと思っていた。

女性アイドルのファンの友人が少ない故か、ひとりひとりに勝手に思い入れてしまっていて、繋がっていたものが失われると置き去りにされたような気持ちだ。

 

わたしがここまで担降りも推し変もせずにヲタクを続けてきたのって、蓋を開けてみると本人たちの純粋な魅力のほかに、このコミュニティから抜けたくないという気持ちもあったのだろう。

推している女性アイドルグループも変わろうとしている、変化に対応していこうときっともがいてる。わたしも、変わる時かもしれない。

*1:推し変と同意